「仕事と生活の調和」に関する決議案についての討論
No.7
日本共産党市会議員団は、自民党、公明党、民主・都みらいの共同提案である「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のまちづくりに関する決議(案)」に反対し、「雇用対策を充実し、仕事と生活の調和をめざす決議(案)」を提案していますので、議員団を代表して討論いたします。
政府は昨年12月に「仕事と生活の調和憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」をまとめました。「憲章」はめざすべき社会を、「就労による経済的自立が可能な社会」、「健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会」「多様な働き方・生き方が選択できる社会」としています。「指針」には、女性の就業率の引き上げをはじめ、フリーターの数を3分の2に減少、週60時間以上の長時間労働の半減、などの数値目標が掲げられています。
ところが、それを実現する方向は、「個々の企業の実情に合った効果的な進め方を労使で話し合い、自主的に取り組むことが基本」とし、企業と労働者には「協調して生産性の向上に努めつつ」意識改革に自主的にとりくむこと、国民には、「一人ひとりが自ら」仕事と生活の調和を考えることを求めています。国は、「仕事と生活の調和の実現」を、労使が協調してもっと生産性をあげる努力をすることを前提とした、労働者や国民の意識改革の問題に矮小化しているのです。これでは、今問題になっている長時間労働、家庭生活と仕事の両立の困難さなどを根本から解決することはできません。
長時間労働の問題では、残業する理由のトップは「そもそも所定内労働時間内では片付かない仕事量だから」です。残業時間の規制など企業への規制をさけ、自主性や意識改革を迫るだけでは、いっそうの労働強化と隠れ残業を広げるだけです。また、「就労による経済的自立」をいいますが、働いても年収200万円以下の労働者が1000万人をこえているように、自立したくてもできないのが現状です。最低賃金を少なくとも1000円以上に引き上げ、パートや派遣労働者の均等待遇の確立、正規雇用から非正規雇用への置き換えに歯止めをかけるなど、政治の責任で、雇用の安定をはかることなしには、経済的自立が可能な社会は実現できません。企業に都合のよい「仕事と生活の調和」ではなく、労働者派遣法の抜本的な見直し、本格的な労働時間の規制、ダブルワークをしないでも暮らせる賃金の保障など、人間らしい働き方の実現こそが求められています。
本会議において市長は、「労働者派遣法改正以後、非正規雇用者が増加し、格差が拡大しており、将来に希望を持ちにくい状況が生じている。格差拡大が続くと、健康で文化的な生活、労働力確保、経済成長にも重大な影響を及ぼす。国をあげてとりくむ必要がある。京都市として、各種施策・事業を雇用対策という視点を加味して見直す。国・府と有機的な連携を図り、提言をおこなう。市民にもっとも身近な本市の役割を果たすべく努力していく」と答弁されています。本市においても職員の長時間労働や非正規職員の増加など労働環境整備は大きな課題です。安心して子どもを産み育てるための支援も求められています。真に仕事と生活の調和の実現をめざして、本市が積極的な役割を発揮することこそ求められています。
以上、わが党議員団の提案への同僚議員のみなさんの賛同を求めまして、私の討論といたします。