「障害者自立支援法案に関する意見書」に対する賛成討論
No.5
日本共産党市会議員団は、提案されている「障害者自立支援法案に関する意見書」に賛成していますので、私は、議員団を代表して討論いたします。
今国会で審議されている障害者自立支援法案は、身体、知的、精神の三つに分かれている障害者施策を一つにまとめるものです。大きく変わるのは障害者の費用負担です。これまでは、福祉サービス利用の負担は所得に応じた「応能負担」で、所得が低ければ無料か低額の負担でした。ところが、今度の法案では、福祉サービスを多く利用するほど費用が高くなる「応益負担」に変えて、一割の定率負担や施設利用者の食費負担を導入しようというものです。
たとえば、家事援助や身体介護、移動介助などホームヘルプサービスの負担は、平均で月千円から四千円へと四倍にもなります。また、通所施設の場合、食事負担も加わり、月額千円が一万九千円と十九倍です。障害が重く、より多くの支援・サービスが必要な人ほど、負担増の影響は甚大です。政府が検討している月額負担上限額は、障害基礎年金一級(八万三千円)相当の収入の人で二万四千六百円、同二級(六万六千円)相当の収入の人で一万五千円にもなります。負担は収入の二~三割に当たります。これとは別に食費も加算されるのです。
また、今は障害の治療のため、患者負担を一般の三割よりも軽くしている公費負担医療の制度では、成人の更生医療と子どもの育成医療は「応能負担」、精神障害の通院医療は五%負担ですが、法案は一割負担で所得税が三十万円以上の場合は制度の対象から外され、三割負担になります。この問題では多くの医師が「自己負担引き上げが治療の中断を生み、地域の精神医療がこわされる。症状が悪化し、生活と生命自体を脅かしてしまう」と危惧されています。
これでは、障害者自立支援どころか、自立を阻害する深刻な事態になることは明らかです。
5月22日に京都で行われた「応益負担に反対する」集会は、障害の種別を超えて七五〇人もの人が集まり、切実な実態や願いが語られました。ある聴覚障害者の方は「手話通訳サービスをうけることで私たちはみなさんとコミュニケーションがとれる。それは私たちだけの益ではないはずです」「サービスを利用することで、やっと社会参加ができる。当たり前の日常生活ができる」と言われていました。もともと社会保障の負担は、憲法25条が規定する生存権をふまえ、「能力に応じた負担」が原則です。
また、法案が具体的な内容も示されず、障害者や家族・関係者の声を聴くことなく一方的に策定され、採決されることも障害者の大きな不安や怒りとなっています。法案の審議のなかで、障害者の自立支援より財政削減優先ですすめられようとしていることも明らかになってきています。
障害者や家族から批判の声があがるのも当然のことです。自民党議員からも応益負担による負担増にたいし「当事者だけでなくわれわれも危ぐを感じる」との声があがるほどです。政府は、障害者や家族、関係者の声に耳を傾けるべきです。今回の法案の応益負担を撤回し、真に障害者が自立できるものとされるよう強く要望し、賛成討論といたします。